地域の元気応援プロジェクト
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Presents
移住体験ツアー
新規事業編
とびしま海道と新規事業
とびしま海道の自然豊かで過ごしやすい環境と地域の人々の温かさに惹かれ、とびしま海道へ移住する方は年々増えてきています。移住を検討中の方にとって、気兼ねなく相談できる先輩移住者がいるというのは非常に心強いことなのではないでしょうか。
そこで今回は、各島々の先輩移住者とのつながりをつくることができる移住体験ツアーを提案したいと思います。
ここでは、先輩移住者の移住のきっかけやとびしまへの思い、現在のお仕事等を簡単に紹介します。
トムさん
(大崎下島・御手洗)
まずは大崎下島の御手洗のトムさん。現在は、御手洗で "The Tea Cosy" というお店を経営する傍ら、とびしまライフの代表として、移住希望者のサポートをされています。
日本生まれイギリス育ちのトムさん。2015年に御手洗に移住されたとのことですが、何かきっかけはあったのでしょうか?
最初は東京に住んでいましたが、妻と一緒に、もうちょっと田舎の環境が良いところに住みたいという話になりました。その後に、東京のふるさと会議支援センターという施設に相談をしに行って、ちょうど広島県の担当の方と話して、それから早いペースでここに下見に来て、数か月後には移住していました。
かなり早いペースで移住されたのですね。行動力と決断力がすごいです…!
移住を決めるまでに迷いはなかったのでしょうか?
妻の地域おこし協力隊の仕事が決まってから、すぐに決めました。まず、大崎上島と大崎下島の両方を下見して、当時は大崎上島の方が空き家バンクとか移住希望者を受け入れる体勢が整っていて、移住へのハードルが低かったので、どっちかというとそっちの方で物件を見たり色々考えたりしていました。でも、同時に大崎下島での地域おこし協力隊の話が出て、それでその制度を使ってぜひ大崎下島に行こうという話になりました。
そうなんですね!そのとき、トムさん自身がやりたいと思っていたことはあるのでしょうか?
そのときはなんか、写真だったら需要ないなと思ってて、ここだったら英語の先生やったり、山羊を飼ったり、結構ぶっ飛んだアイデアを考えていました。色んなことをやりながら、色んな収入源をつくって何とか暮らしていこうと思っていました。
でも実際に来たら思ったより島だけの暮らしじゃなくて、ここから車で中国地方、九州までも全然いけるし、四国も含め、基本的に西日本どこでも仕事できるし、逆に、東京の生活だったら東京だけだったんですけど、こっちの方が逆になんか活動面積でいうとめちゃくちゃ広がった気がします。
その意味では面白かったですね。全然想像できていなかった生活をしています。
それはカメラマンとしての仕事ということですか?
そうです。カメラマンとかライティングとか、多言語コンテンツの制作のプロジェクトとか。結構大きいプロジェクトの話が入ることがありました。
東京だったら仕事の総量は多いけど同じ仕事をできる人がすごく多くて、なかなか仕事が自分に回ってくる確率が少ないんですよね。だけどこっちに来ると、仕事の総量としては東京より少なくても、自分と同じ仕事をしている人が少なくて、人の密度が少なくなる分、自分の活動を発見してもらいやすい。仕事の依頼が来る確率が上がっている気がします。
それは、自分がたまたまカメラとかライターやっているから、という話ではなくて、例えば陶芸家ですっていって、島に来て、陶芸に関するプロジェクトがあったら、あの島の陶芸家に頼もうとか、何か絶対そうなるんですよね。
たしかに、そういう意味ではチャンスが無限に広がっている気がしますね。
これは、新しい事業をやりたい人にとっては非常に魅力的なポイントですね!
東京だと素晴らしいことやっている人が本当に多くて、そこになんか埋もれちゃうというか、そこから飛び抜けるのは本当に大変だと思うけど、こっちだと自分だけにしかできないことがあるから、やりやすい部分はあると思います。
そうですね。その感覚は私にもあってすごく共感します。地方で仕事をするというのも1つの選択肢として視野に入れておくのも良いかもしれませんね!
では、トムさんが思う、とびしま海道の魅力はズバリ何でしょう?
とびしま海道の魅力はたくさんあるんですけど、まず1つは風景とか環境がすごく美しいこと、そして、やっぱりここの地域の人たちの温かさが素晴らしいですね。あとは、橋で繋がっているので、いつでも本土に渡ることもできますし、空港にも簡単に行けるし、四国の方にもフェリーで行けるし、田舎暮らしを楽しみながら、色んな方面へのアクセスが良い場所だと思います。
他の地域と比べると、とびしま海道の移住者の全体の数は少ないんですけど、結構移住者どうしのつながりがあって、みんなで楽しく生活をしています。
田舎暮らしを楽しみつつ、たまには街へ出かけたり、気軽に旅行に行けたりするという何とも贅沢なまちですね…!(笑) とびしまライフの立ち上げメンバーと伺いましたが、どのような経緯で団体の立ち上げに至ったのでしょうか。
とびしまライフは、各島の移住者仲間と立ち上げた1つの任意団体です。立ち上げた理由は、ここに移住したいと思っていても、誰にどうやって連絡とればいいのかなかなか分からない、とか、元々は各島どうしの横のつながりがなかったので、分かりやすい1つの相談窓口をつくりましょうというところから始まった団体です。
いきなり移住するというのは結構ハードルが高いので、できるだけそのハードルを低くすることが1つのとびしまライフのメンバーの目的です。その中でも、ただ遊びに来るとあまり生活とかが分からないので、移住体験ツアーとか、移住にフォーカスしたツアーを作れば移住希望者の役に立つかなと思っています。
確かに、一度訪れたときにこの島いいなあと思ったとしても、どこに連絡したらいいか分からなければ次の一歩が踏み出せないですよね。
相談窓口が1つにまとまっていることで、移住希望者側からみても連絡がとりやすいですし、それも先輩移住者さんたちが主体で動かれている団体であればなおさら安心感を得られるのではないでしょうか。さらに、島どうしの連携や情報共有もしやすいしくみになっていて、より充実したサポートに繋げられそうですね。
最後に、今後の展望を教えてください。
そうですね、一番は自分のお店もちゃんとした形で続けたいし、もうちょっと人生の色んなもののバランスを上手くとりたいです(笑)あとは、もっと面白い仲間を増やしたいです。とびしまライフを立ち上げた1つの大きい理由は、ある意味自分勝手なところで、周りにもっと面白い人とか、色んな人が集まってきた方が、自分たちの生活とか人生が楽しくなるという思いがあって、そういう意味では欲張りな部分もありますね。だって、絶対例えばここになんか中華料理のスペシャリストが来たらめっちゃ嬉しいし(笑)なんかイタリア料理の職人さんが来たり(笑)まあたとえばですけど、そういうその人の人生も楽しくなれば、自分たちの人生も楽しくなるかな、と思っていて、そういう仲間を増やしたいと思っています。
ありがとうございます!とびしまに移住してくる方の人生を豊かにするサポートをすることで、自分の人生も豊かに、より楽しくなっていくという思いで活動をされているのは本当に素敵だなと思いました。
トムさん、ありがとうございました!
真帆さん
(豊島・豊浜)
続いて、豊島の真帆さん。真帆さんは広島県広島市出身。何でもあるのが当たり前になってた環境の中で、田舎暮らしもいいなあと考えていた時期に、地域おこし協力隊の募集を見つけたことが移住を考え始めたきっかけだったそう。元々島での生活に憧れていたこともあり、とびしま海道の中心に位置する”豊島”へ移住され、現在豊浜の地域おこし協力隊として活躍中です!
地域おこし協力隊としてどのような活動をされているのでしょうか。
今協力隊になって2年目なんですけど、1年目は地域の人たちに馴染むということを目標にして動いていました。2年目になって地域のために何ができるかなと色々考えているまだ途中ではあるんですけど、農家さんのレモンとかみかんをふるさと納税に出品したり、あとは農業だけじゃなくて漁業も有名なまちなので、ひじきとレモンをセットにしてふるさと納税に出したりしています。
また、元々写真の仕事をしていたので、商品撮影をしたりとか、商品パッケージのデザインを考えたりしていて、広島国際大学と関わりがあったので、学生さんに頼んで、ひじきとレモンのレシピを考案してもらって、そのレシピ集のデザインとかもして、魅力を発信出来たらなという感じで活動しています。
以前のお仕事で培ったスキルも活かしながら、地域の魅力発信をされているのですね!
では、豊浜での暮らしの魅力を教えてください!
一番の魅力は、食べ物が美味しいことです(笑)柑橘もだし、魚も美味しいし、本当に贅沢だな、舌が肥えたなって思います。地域の方々から魚とか季節の野菜をいただくので、それをどう調理しようか色々調べて、前よりも料理をするようになりましたね。
あとは、観光業がそれほど盛んな島ではないので、どの島よりも日常を感じられ、自然体に暮らすことができる島なのではないかと感じています。
地域の方から食材をいただけることもあるのですね!島でとれる新鮮な食材を使った料理は美味しいこと間違いなしですね!私も食べたいです(笑)
他の移住者との交流はあるのでしょうか。
私は地域おこし協力隊なので、先輩方が最初の頃は結構声かけてくれて、そこから色んな人を紹介してもらうというつながりがあるので、そういうのは本当にありがたいなというふうに思っています。とびしまライフの活動としても、移住者さんをフィーチャーしてSNSに投稿していて、移住者どうしのつながりが結構大きいので救われてますね。飲みに行くところもないので、家でご飯食べたり、昨日もタコパをしたんですけど、家で遊ぶことが多くなりました。
移住者どうしのつながりがあるのはかなり嬉しいポイントですね!
地域の方と関係を築くには、自分から挨拶をしたり、声をかけたりすることも大切ですが、人からの紹介が一番信頼性もあって地域に早く馴染みやすくなるのではないでしょうか。
最後に、今後の展望を教えてください。
先程、魅力のところでお話したように、ここは、観光業が盛んなまちではなく、観光客がふらっと立ち寄るような場所がほとんどないんですよね。日常を感じられるという点では魅力の1つではあるんですけど、外から遊びに来てくれる人がいないというのはやっぱりちょっと寂しい。なので、観光客がふらっと入れて、地域の方々にも気軽に来てもらえる場所が欲しいな、プラットフォーム的な場所がつくれたらいいなという思いで今動いています。
ありがとうございます!そんな場所があったら地域の方と観光客の交流が生まれ、より豊島の魅力に気づく人が増えそうですね…!私もとびしまに遊びにいった時には、ぜひ立ち寄りたいと思います。真帆さん、ありがとうございました!
おりでさん
(豊島・大浜 & 豊浜)
最後に、豊島でイラストレーターと焼き物作家をされているおりでちせさん。おりでさんは広島市内出身で、現在は大崎下島の大浜という、農家の方が多い集落にお住まいです。アトリエを豊島に構えており、素敵な作品を販売されています。
最初に、とびしまへの移住のきっかけを教えてください。
はい。元々、海の近くに住みたいなという希望があって、海の見える所にいつか行きたいんだって話を今の夫にしていたら、そのときはまだ結婚してなかったんですけど、彼が、漁師になろうかなって言い出して、漁師ってどういう勤め先があるのかなと探したときに、ここのタチウオ漁の新規就業の募集があって、それで移住しました。漁師さんもやっぱり後継者がいなくて、困っているので、広島県とか呉市が協力して後継者が来てくれるように補助金出すような制度があって、それを知ってここに来ました。
いきなり漁師になりたい!と言われたら衝撃を受けそうですね(笑)お互いのやりたいことが一致して今の生活があるというのは本当に素敵なことですね!では、島暮らしの魅力を教えてください。
そうですね、純粋にこの環境、海に囲まれてて、でも島は山なので、緑に囲まれていて、まちなかで見られない生き物、元々私が生き物が好きっていうのはあるんですけど、生き物が多い。野鳥とか昆虫とかもそうなんですけど、そういうところが作品の発想とかコンセプトの1つというか。普段何気なくアトリエと家を往復するだけでも野鳥を結構見たりとか、漁師さんに生きた魚とかタコとかイカとかもらったりとか、そういう街に住んでいた時よりも自然に近いっていう環境が私にとって魅力的です。
島での暮らしは一般的に不便だと言われていますが、不便さを感じることはありますか?
不便だとは思ってないです。買い物とかちょっと急に必要になったものがあるときにめんどくさいなとは思うんですけど、そこで不便だなという風には思わないです。後は、今の時代、インターネットで物が買えるので、それを届けてもらえるというのが大変助かってます。なので全然不便だとは思わないですね。
そうなんですね!
コロナ禍で生活に何か変化がありましたか?
生活は変わらないです。外食することもないし、自分の畑で育て手食べたりとか、自炊することも多かったし、あんまり外に出て遊びに行くということも少なかったので、仕事のときだけ外に出るという感じで、コロナになったから何か我慢するという生活は全然してなくて、変わらずのんびりとしています。
日本全体で生活が変化したと言われていましたが、元々影響を受けないような暮らしをされていたのですね。
とびしまへ移住を考えている人へのアドバイスをお願いします。
そうですね、やっぱり家の希望とか、こういうところに住みたいとか、最初移住しようと思った時に、自分の思い通りにならないことも多いんですけど、でもめげずに頑張ってほしいです。移住してきて一番最初に入る家とかもそうなんですけど、一番最初に理想をがっちり決めずに、こっちに来てから次の家を探したり、仕事を探したり、そういう移住の仕方もあると思うので、臨機応変にできるといいかなと思います。
リアルな声をいただきました。移住を考えている人にはぜひ参考にしていただきたいですね!
最後に、今後の展望を教えてください!
自分がつくりたいもの、好きなものを、突き詰めて魅力的だねって言ってもらえるような作品が作れたらいいなと思っています。私は、地域を活性化するために移住したわけじゃなくて、純粋にここに住みたい、ここで暮したいって思って移住してきて、自分がやりたいことをここでやってるという感じなので、自分が地域おこししているとか、地域のためになってるとかいうことはあんまり考えていないのですが、結果的にそうなってるとか、周りの人がそうなってるねって言ってくれるのが一番いいなと思います。
自分が好きなことを突き詰められる人生!本当に素敵で憧れます。おりでさんの作品は私も大好きになったので、アトリエにも足を運んでいただきたいです。
おりでさん、ありがとうございました!
移住体験ツアー 新規事業編を通じて
今回のツアーでは、他の地域から移住して、とびしまで新しく事業を興されている、3名にお話を伺いました。移住者どうしのつながりも強いので、出会った人から他の先輩移住者へ繋げてもらうこともでき、どんどん輪が広がっていくのではないでしょうか。
とびしまで出会った方々は本当に素敵な方ばかりで、お話していて楽しく自然と笑顔になりました。移住先を探している方、何か新しい事業をしてみたい!と思っている方は、ぜひ先輩移住者さんに会いに行ってみてください!!
この記事を作成した人
田中春香
広島大学法学部2年(2022年3月時点)
専門:社会学
元々地域コミュニティや移住促進に興味があり、これまでいくつかの地域に関わってきた。島暮らしのリアルを知りたい!という思いで今回の取材に参加。
目の前に広がる景色の美しさと、とびしまで暮らす人々の温かさに魅了され、将来は島暮らしをしたいと考え始めている。